防水工事の工法は多種多様なため、状況に合った工事をします。
戸建て住宅において、通常の屋根などは瓦やトタン・スレートなどの屋根材を被せることで建物への雨水の浸入を防ぎます。しかし傾斜のない屋根部分(陸屋根・屋上・バルコニーやベランダ)などには屋根材を被せることができないため、「防水工事」をする必要があります。 防水工事にはいろいろな条件に対応できるように多種多様な工法が存在します。代表的なものがウレタン防水・FRP防水・塩ビシート防水などです。どれが一番良い、というのではなくそれぞれにメリット・デメリットがあり、現状の建物の状況に適した工法を選ぶことが大切となります。まずはそれぞれの特徴を以下にご説明いたしますのでご参考にしていただければと思います。 それぞれの特徴・違い 大きくは以下のような特徴があります。施工する場所や現在の状況などによりオススメは変わってまいりますので、まずはご相談いただければと思います。最も良いものをご提案させていただきます。 ウレタン防水 安価で耐久性も高く、どのような形状の下地でも使用できる 国内の防水工事において最も多く採用されている 複雑な形状をした下地状況でも継ぎ目なくできる 5年おきにトップコートの再塗装が必要(行えば10年以上の耐久性) FRP防水 耐衝撃性に強く、耐水性や成型性がよい 硬質な為に下地の動き(伸縮)などについていけず、ひび割れや剥がれが起きる可能性 塩ビシート防水 耐久性や長期的なコストパフォーマンスの高い施工方法、ウレタン防水と比べても耐久性は高い 既存の防水層がどんな種類でも施工が可能 ウレタン防水 現在、安価で耐久性も高く、どのような形状の下地でも使用できるなどのメリットが多いことから、国内の防水工事において最も多く採用されている施工方法です。 液体状のウレタン防水材を使用し現場で仕上げる工法なので、複雑な形状をした下地状況でも継ぎ目のない防水層を形成することができます。 5年おきにトップコートを再塗装することで10年以上の耐久性を維持でき、雨水の侵入を防ぎます。 屋上、陸屋根、バルコニー等様々な場所に使用することができる万能な防水工法です。 大きく2つの工法があります、状況にあったものを 1.密着工法 通気緩衝工法に比べ工程数が少ないため作業期間が短縮できるのと、工事費用を安く抑えることができます。 水分を含まない下地で、戸建て住宅のベランダ床や狭い場所への防水には「密着工法」をおすすめします。 2.通気緩衝工法 経年の雨水や水分を吸収した下地などは日中、日に当たることによって湿気となり出ようとすれば通常の密着工法の場合、防水層の膨れという症状が発生します。 通気緩衝工法の場合、そのような膨れの原因となる下地に含まれた水分をシートの溝を通気して脱気筒によって外部に逃がすことができます。 水分を含んでいる可能性のある築年数の古い建物の屋上やRC造(鉄筋コンクリート造)の屋上・ルーフバルコニーなどにはお勧めの工法になります。 作業手順(通気緩衝工法) ①高圧洗浄・下地調整 経年の汚れを高圧洗浄できれいに除去し、ひび割れなどの雨漏りの原因となりうる箇所にはカチオンなどの補修剤を使い平滑な防水に適した下地作りを行います。(改修ドレンの取付けも行います) ②プライマー(下塗り材) 下塗りの役割はウレタン防水材が下地に吸収されるのを防ぐという事と密着性を高めるために行います。下地の状況が悪い場合は下塗りを2回行うこともあります。 ③通気緩衝シートの取付け 専用の接着材を使って取付けを行います。 ④ウレタン防水中塗り コテや刷毛ローラーを使用し、全体的にムラなく均一に仕上げていきます。 ⑤ウレタン防水上塗り 一回目のウレタン防水が硬化後、再度ウレタン防水材を塗り重ねます。こうして複数回塗り重ねることで防水層に均一な塗膜の厚みと防水層を形成します。 ⑥トップコート(仕上げ塗り) 最後の仕上げにトップコート(防水層の保護)を行います。トップコートとはウレタン防水層を紫外線などから保護する役割を持っています。(湿気を逃がすための脱気筒も取り付けます) ⑦完成 コテや刷毛ローラーを使用し、全体的にムラなく均一に仕上げていきます。 FRP防水 FRPとは繊維強化プラスチックスの略称で、耐衝撃が高く耐水性や成型性がよいことから、木造住宅の新築時に最も多く採用されている防水工法でもあります。 改修の場合にはあまりFRP防水をご提案することは多くないですが、FRP自体に経年劣化によるヒビ割れが多数あったり、FRP下地の板が腐食してしまっている場合は、このFRP防水を行います。 FRPは適切な施工を行っていても、硬質なために下地の動き(伸縮)などについていけず、経年劣化によりヒビ割れや剥がれが起こることがあります。 気づいた時には手遅れ、とならないように早めのメンテナンスをおすすめします。 施工手順 ①下地調整 まずは新たな下地材の増張りを行います。 ②排水ドレン取り付け FRP製のドレンを固定して取り付けます。 入隅などにガラスマットや樹脂がしっかりと密着するようにしっかりと取り付けます。 ③プライマー(下塗り材) 新たな下地材全体に下塗りを行います。密着を良くするためにしっかりと浸透させるように塗布します。 ④ガラスマット貼り ガラスマットを全体に貼り付け、FRP樹脂を塗布します。 この時同時に脱泡ローラーを使用して空気抜きを行います。 ⑤トップコート ガラスマットやFRP樹脂を保護するためにトップコートを塗布します。 ⑥完成 塩ビシート防水 シート防水工事の工法はいくつかありますが、技術的な理由で現在は塩ビシートが主流となっています。耐久性や長期的なコストパフォーマンスの高い施工方法です。 ウレタン防水と比べても耐久性は高いため、長期的に持たせたい方には塩ビシート防水をおすすめいたします。塩ビシートの特徴としては既存の防水層がどんな種類でも施工が可能です。 耐久性も高く、総合的なコストパフォーマンスを考えれば非常にメリットのある工法といえます。 施工手順 ①通気シートを貼る 床全体に敷き詰めます。 ②ディスクを取り付ける 通気シートにディスクをひとつずつ固定していきます。 ③塩ビシートを溶着 ディスク部分を機械を使って熱による溶着を行い、前面に塩ビシートを貼ります。 機械固定式工法はこのディスク部分のみの接着になります。 そうすることで下地とシートの間に空気層ができ、膨れの可能性が軽減します。 ④完成